「忠臣蔵、大序」顔世御前
錣とは兜の両脇にあるひらひらした部分です。
江戸時代の役者は、鬘師に鬘(かつら)を作らせて自分で保管していました。女形の鬘は結い上げる形のものが多かったので、この結い上げる鬘を利用して錣に似た別物の長い毛をつけて下げ髪にした鬘です。
床山という仕事が確立し、役者が保管することがなくなってからは別物の毛を付けることはなくなり、この形だけが残りました。
【文:那須正利】